『掌の小説』より『帽子事件』 川端康成
新潮文庫 1971年
スポット 不忍池 天龍橋
朝毎に上野の不忍池では、
蓮華の蕾が爆音を立てて
花を開いた
川端康成が40年にわたって書き綴った、111編の掌編小説を収録した作品集のうちの1編ß。
ある夏の夜、不忍池を横切る観月橋で起きた出来事。
池に帽子を落とした男がそのまま帽子を見捨てようとするが、見知らぬ男が「拾うべきだ」と忠告し、手伝いまで申し出てくる。
現実とも非現実とも見分けがつかない、独特な読後感を残すおとぎ話のような作品。
不忍池といえばたくさんの蓮が見所である。またパワースポットとしても知られているこの場所で、
不思議な物語を読んでみるのはどうだろう。
もちろん、帽子を池に落とさないように気をつけなくてはならない。