『都に夜のある如く』  高見順

文春文庫 1985年

スポット 清水観音堂周辺



私たちは本堂を出た。
その本堂の前から、不忍池が一望に見おろせた。

昔の風情が残る昭和20年代の東京を舞台に作家と古物商、二人の中年の浮気の一部始終を描く。
上野の街並みなど、四季折々に移り変わる東京の風物を背景に風俗を描写している。
若い娘たちに翻弄される中年のやるせない情趣を描く。
”紅燈の巷”にあやしく揺れる男女の交情、都会の恋の物語である。
主人公が上野の清水観音堂から出てきて不忍池と弁天堂を見おろす場面が描かれている。

昭和20年から現在まで残る風景は少ない。
しかし、清水観音堂から池を見おろせば今も池と弁天堂を見ることができる。
普段とは違い、上野の風景に大人の恋愛の舞台ßを見いだしてみてはいかがだろうか。

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